リノサポ RENOVATION no.19@北綾瀬「閉じない部屋」

 若いご夫婦にとって、閉じた部屋は必要ない。しかし、ただのワンルームでは、来客やライフステージの変化への対応に難がある。そこで、閉じ切らない不完全な部屋が、若いご夫婦のためのマンションリノベーションとして最適解であると考えた。
 水回りを除いた一室の生活空間の中に、ベッドだけは不用意に見えないよう最小限の壁を立てる。壁には2つの内窓を設け、2人が家のどこにいても緩やかな繋がりを感じられるようにした。将来的には、この壁を拠り所に最大2つの寝室を確保できるよう、動線及び電気配線を計画してある。
 また、窓際の床を玄関から続くモルタルで仕上げ、角部屋の好条件を活かした内外の中間領域を広く設けた。外壁周りの天井には断熱材が吹き付けられているため、ここの天井は躯体現しとはせず、ハンガーパイプを回した。ここでは、窓際に観葉植物を飾ったり、ベッド脇に衣服を掛けたり、ソファ隣にハンモックを吊るしたりすることができる。時には、洗濯物を干したり、懸垂を行なったりと、閉じない部屋から溢れ出したハンガーパイプが”Activation Tips”となり、様々な活動やコミュニケーションのきっかけとなることを期待している。
 形骸化したマンション住戸の部屋群を一度解体し、「閉じない部屋」によりいくつかの居場所を緩やかに繋ぐ。それにより、どこにいても家族の温もりと屋外の様子を気配で感じられる住空間が生まれた。


No.212WType住宅Year2018Role内装設計監理Location日本・東京都Published「TOKOSIE」09/2018