20世紀末の日本におけるマンション住戸は、核家族というマスターゲットに向けて、家族が集まるLDK+南面バルコニーを中心に付加的な和室と北面の個室群で形成されてきた。人口が減少し家族のあり方が変化してきた21世紀初頭の現在も、形骸化したnLDK型住戸が量産され続けている。
そのため、核家族をターゲットとしたnLDK型住戸では満たされず、nLDK型住戸をリノベーションし、自分たちのライフスタイルに合った住まいに変えたいという声が多く聞かれる。経験上、それらは多様とはいえいくつかのグルーブに分けることができそうであり、個別特殊解ではなく、いくつかのライフスタイルへの最適解として提案可能である。
そこで、ターゲットを家族像ではなくライフスタイルで考え、ライフスタイルへの共感を軸に、マスベースからファンベースへと移行させたい。
都心・築古・床面積100㎡以下という条件を鑑み、付かず離れずの適度な距離感を保つ暮らし方をターゲットライフスタイルとし、「離・合・集・散」を楽しむ二人の住まいを想定する。ターゲットは家族像ではないので、ここに暮らす家族は新婚の夫婦かもしれないし、銀婚式を控えた夫婦かもしれない。親子やきょうだいかもしれない。一方で、ライフステージに応じて暮らし方を選択できるよう(従来表記で言う)「I LLDK 」にも「2 LDK」にもなる可変性のあるプランニングとしている。
No.214WType住宅Year2018Role内装設計監理Location日本・東京都Link暮らし発想リノベーション HP