1.倉庫併用住宅の新築

2.大谷石蔵のリノベーション

既存の蔵

3.渡り廊下の増築と母屋のリノベーション

PHOTO©Nao Takahashi

朝霞の3棟再整備計画

 埼玉県朝霞市に建つ、倉庫併用住宅の新築と、蔵と母屋のリノベーションの3棟再整備計画です。これらの建物を渡り廊下で接続することで、敷地を立体的に活用し、3棟でひと繋がりの風景を作っています。渡り廊下には住人の暮らしが溢れ出し、倉庫併用住宅の一部とピロティはギャラリーとなって、訪れる人を迎え入れます。母屋の石塀の一部を削って置き換えた、モクタンカンのベンチと開放的なデッキが、住人と来訪者の交流の場となりました。住人と来訪者がともに居心地良く過ごすことができる家びらきを目指しています。

Asaka project is a combination of the new small house construction and the renovation of the storehouse and the main house. These 3 buildings make a continuous scene, and holistically activate the site with the bridge connecting the buildings. The life of dwellers are shown on the bridge. The renovated storehouse and the piloty become a gallery for guests. “Moktankan” bench placed on the existing stone fence and the open deck area become the place for the communication between dwellers and guests. Asaka projects is the open-minded house which give comfortable feeling not only to the dwellers and also to the guests.

1.倉庫併用住宅の新築(2018年6月竣工)
 3棟に横断する要素として木、大谷石、鉄の3素材を点在させています。石蔵とボリュームラインを揃えた1F外壁は、大谷石と親和性を高める、オリジナルの大谷石モルタル仕上としています。またピロティの列柱は、増築される渡り廊下と連続したデザインとなります。住人にとって、1棟で完結するのではなく、敷地内多拠点な生活が想定される場所となっています。

2.大谷石蔵のリノベーション(2019年1月竣工)
 構造補強と家財の虫干しに適した環境を整えました。木架構を追加することで石壁にかかる屋根荷重を軽減させています。2Fには換気窓を設け、内部の吹抜けも合わさって自然換気を促します。礎石と木架構による躯体だけの空間は、外観と内観が一致することで半屋外的な空間体験となり、下屋に付随する休憩所のように使うことも可能です。

3.渡り廊下の増築と母屋のリノベーション(2019年3月竣工)
 母屋では蔵側の1,2Fに通用口を新設し、3棟間の移動を円滑にします。また川側の大谷石塀を切り下げ、視線の通る境界ベンチを設置することで、敷地を守る境界から、住人が地域と関わり、距離を縮める境界へと変更しています。渡り廊下によって空中に生活動線があふれ、1Fの下屋空間が日陰として使われることで街と向き合う敷地となっています。


No.154WType住宅Year2018Role設計監理Location日本・埼玉県Published「【】TECTURE MAG」09/2021Awards2020年度グッドデザイン賞