
本計画は、境内全体を安全で安心な環境に整備することで、星川杉山神社がこの先30年50年100年と、これまでよりさらに地域に根ざし、愛される神社となることを目指す計画です。 建築物については、用途・機能・意匠・構造・防災・法規などあらゆる面で、これまでの計画を多角的に評価し、長い時間を見据えて、歴史・伝統・文化を、大切に将来に引き継ぐために必要な計画を行います。 第1期では、最も古い本殿・拝殿の耐震改修を最優先に実施致しました。
□耐震補強工事について
以下の方針に沿って計画、 施工を行いました。
・耐震診断は文化庁「重要文化財(建造物)耐震診断指針」に準拠。
・耐震性能は文化庁「安全確保水準」に準拠し、 大地震時および極稀な暴風時に倒壊しないこと。
・補強については、 以下の点に配慮。
極力既存部材を傷めない設置方法を採用する。
補強部材によって空間の意匠を損なわないように配慮して補強要素を設置する。
補強部材が現しになる部分については、 当初材との 区別が可能な仕上げとする。
素材については木材、 左官材など、 極力普遍的な材料を使用することで、 既存建物との調和を図り、いつの時代にも手入れの可能な作りとしました。
□その他工事について 耐震補強工事に伴い、 建具の交換、 床板の張り替えを行いました。 建具は、伝統的な形式である蔀戸を採用しました。 蔀戸は 上下をそれぞれ開閉できるため、 使い方に応じて開放性を調整することができます。落ち着きと趣のある姿となるよう、 建具や格子の縦横比、金物など細部に渡って計画を行いました。蔀戸の計画にあたり、福徳寺阿弥陀堂(重文)を参照致しました。床板は、節の無い桧の無垢板とし、 神聖な空間を目指しています。
第2期:仮授与所、第3期:参集殿・渡り廊下と計画を進めます。
建築概要
用途:神社
構造:木造
規模:地上1階
延床面積:95.33 m²
設計監理:A+Sa アラキ+ササキアーキテクツ
設計協力:宮川和工/日本伝統建築事務所
構造:北茂紀建築構造事務所
施工:山内工務店
No.311WType神社Year2025Role建築設計監理Location日本・神奈川