ー砧の三棟ー
東京都世田谷区砧の閑静な住宅街、駅から少し離れた高低差のある敷地に建つ集合住宅の計画です。
奥に長い細長い敷地で、西側道路以外の三方は住宅群に囲まれているため、隣地に建物を寄せてしまうと採光やプライバシーの確保が難しい環境でした。
また、T字路の正面に面する敷地のため、プライバシーと開放性の両立させることを考えました。
そこで、周辺に立ち並ぶ戸建住宅群のボリューム感から逸脱しないように、 ファサードに三つの塔状ボリュームを形成しました。
煉瓦タイルでつくられた三本の煉瓦塔は雁行させ、その間につくられたバルコニーには陰影が生み出され、煉瓦棟には開口を設けないことで、住空間を前面道路から遠ざけ、道路側住戸のプライバシーを守る計画としました。
敷地奥の住戸は、すべて南側に面しているため、南側に空地をとり採光を確保しつつ、インナーバルコニーを設けることで、隣家との間に程よい距離感を生む構成としました。
また、細長い敷地の集合住宅は単調な計画になりがちですが、共用廊下を雁行させることで、各住戸間のプライバシー性を高めつつ、奥行き感を生み出しました。
外部は、赤褐色の煉瓦タイルが際立つように、煉瓦タイル以外はダークグレー色でまとめて陰影のあるファサードとし、内部はアースカラーでまとめ、落ち着きのある空間とするとともに、容積率は使い切ることで、クライアントの要望に応える建物計画としました。
三本の煉瓦塔・インナーバルコニー・雁行廊下により、周辺環境から距離をとり、奥行きを与え、住空間に居心地を与える、心豊かな暮らしの提供を目指しました。
建築概要
用途:共同住宅
戸数:19戸
構造:壁式鉄筋コンクリート造
規模:地上4階
敷地面積:519.72㎡
建築面積:354.38㎡
延床面積:1184.11㎡
最高高さ:10.80m
最高軒高さ:10.75m
事業主:株式会社 フェイスネットワーク
意匠設計:A+Sa 株式会社アラキ+ササキアーキテクツ
協働設計:nackle design office / ナックルデザインオフィス
構造設計:株式会社 ブレン設計事務所
設備設計:加藤設備設計事務所
施工:小原建設株式会社
No.318WType共同住宅Year2024Role建築設計監理Location日本・東京都