インドネシア・バリ島のウブドに建つ100席のリゾートレストランである。
敷地はアユン川を眼下に望む渓谷の上にあり、対岸には森が広がっている。
ショウジョウヤシに包まれたアプローチを抜けると、竹林の中にアプローチ棟・キッチン棟・ダイニング棟・アネックスダイニング棟・バー棟・スパ棟・既存事務所棟の7つの小屋がある。
分棟とすることで、近隣の建築スケールに調和させ、棟間に既存樹木を残している。
各棟をレストランとしては小さめの住宅に近いスケール感で統一し、主に縁側のような半外部動線で接続した。
こうすることで、一見増改築を繰り返したかのような無秩序性を確保している。
この無秩序性により、規定されたシークエンスよりも自由で複雑な「発見的散策」を楽しめる建築とした。
バー棟はヤシに寄り添って建っており、アネックスダイニング棟では二本のヤシが屋根を貫通している。
ここでは樹木と建築が密接に関わっており、樹木の振る舞いや成長が空間体験に直接的に影響する。
建築の仕上げは領域ごとに異なり、壁は主に6色のカラーモルタルプラスターで塗り分け、床は石・レンガ・モルタルタイル・チークフローリング等を貼り分けている。
東南アジアの環境的ポテンシャルを最大限に引き出してきた建築家ジェフリー・バワを徹底的に参照し、いずれも屋内屋外を問わない素材で「経年変化」が美しい仕上げとした。
このように、「発見的散策」と「樹木と素材の経年変化」により、ゲストが訪れるたびに、自分だけの、その場だけの、その時だけの魅力を発見できる 建築となった。
ゲストに毎度豊かな時間を過ごして頂き、自らの別荘のように感じて頂ければ幸いである。
No.091WTypeレストランYear2014Role建築設計監理Locationインドネシア・バリ