熊野町の離れ

筆の国内生産量 8 割を占める“筆の里”広島県安芸郡熊野町の旧家に 建つ、離れの建替え計画である。
プライバシーを確保するために、隣家 のある南側は比較的閉じる。
南面開放とは異なる手法で、開放的な内部 空間の実現を目指した。
「廻り土間」と「斜めの抜け」という二つの手法 により、隣家の視線は遮りながらも、庭と一体となった開放性や回遊性 を獲得する。
「廻り土間」とは円環状の土間であり、屋内を土間が通り抜けることに より内外を繋ぐ。「廻り土間」の床には、硯の材料となる玄昌石を用いて おり、他にも竹や和紙といった筆にまつわる素材を仕上げに用いること で“、筆の里”ならではの素材空間となるよう吟味した。
「斜めの抜け」とは、 各室の対角線上に配された開口部により出現する、内外を貫く視線の抜 けである。部屋に入る瞬間に斜め先の庭へ視線が抜けるなど、その場に 立つ人のシークエンスに沿った「斜めの抜け」を設けることで、空間に 拡がりを生み出した。
「斜めの抜け」と「廻り土間」の交錯により、日の 揺らめき、木々のせせらぎ、小鳥のさえずりといった偶発的な外部状況 の変化が取り込まれ、内と外が重なり合う空間となった。

建築概要
用途:離れ
構造:木造(在来工法)
規模:平屋
敷地面積:1215.26㎡
建築面積:99.65㎡
延床面積:87.78㎡
設計監理:A+Sa 株式会社アラキ+ササキアーキテクツ
構造:鈴木啓 / ASA
施工:橋本建設株式会社


No.103WType住宅Year2016Role建築設計監理Location日本・広島県Linkリンク名