©SHIMIZU KEN

網代の家

山から外壁材を伐り出し、田から断熱材を収穫し、敷地の土からレンガを製作 東京郊外に建つ24坪の平屋の計画である。
施主は自宅計画の当初からなるべく自ら工事に参加したいと考えていた。
それは日々生活する家にブラックボックスを作りたくない、自らの手で施工する事で、自分の家の成り立ちを把握したい、というもっともな希望であった。
また親族の山から杉、桧、山桜、栗などの材木を、田から籾殻の入手が可能であり、材料も自らの手で入手、加工、運搬を行った。

我々は施主施工を前提とした下記5点の計画を行った。

① 構造:施主施工により、素人味が出ることや計画しきれないことも許容出来るよう、仕上げに左右されない、シンプルで明快な構造体を計画した。
また、水まわりを中央に配置することで、ピアノ室とリビングを緩やかに分節した。
② 外壁:高所作業は困難と判断し、下部を施主施工の杉板張り、上部を職人施工のリシン吹き付けとした。
杉板の張り方はモックアップを製作して検討した。将来的に2階建てに変更した際にも防火規定を満たす仕様となっている。
③ 内壁:籾殻の出し入れを行う蓋を壁の上下に幅木状に設け、壁面は珪藻土の左官仕上げとした。
④ 断熱材:自然素材であり、農業廃材である籾殻を使用した。虫害や劣化の予測が難しいため、点検・入れ替えが可能な構法とした。
スイッチなど電気配線の入る壁面は極力集約した上で工務店工事とし、メンテナンスを考慮してロックウールを充填した。
⑤ 土レンガ:敷地の土を使って土レンガを製作し、薪ストーブの遮熱壁として使用した。配合を変えたサンプルを製作し、強度、風合い、施工性を検討した。

木材の製材から始まり、レンガ作りで庭の土を掘り返したり、未経験の事が多く、苦労が絶えなかったが、結果的には施主が目指した、隅々まで清々しい家が完成した。木造在来構法の汎用性の高さが可能にしたのでは無いかと考えている。


No.63WType住宅Year2014Role建築設計監理Location日本・東京都PublishedHOUSING 2015年9月号Link PDF DOWNLOAD